アメリカの女性歌手ローリン・ヒルが1998年にリリースした曲です。収録されたアルバム
「miseducation」は、評価と興行の両方の面で大成功を収め、グラミー賞においては女性アーティストとして当時最多の5部門を受賞し、ヒップホップのアルバムとしては初めて「最優秀アルバム賞」を受賞しました。
今曲は初めて妊娠した時の心境を本人が詞に書き起こしていますが、「妊娠がいかに素晴らしいか」や「ママ頑張る」というメッセージ性と共に、当時商業面ばかりを危惧するマネージャーたちから批判された内容も赤裸々に綴られており、多くの支持を集めました。
タイトルの「Zion」とは聖書で「エルサレム / 天国」がある山のことであり、彼女が出産した長男の名前でもあります。
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One day, you’re gonna understand Zion
Unsure of what the balance held
I touched my belly overwhelmed
By what I had been chosen to perform
(「belly」は「お腹の膨らんだ部分」や「おへそ」
を意味します。「ベリー・ダンス」の「ベリー」です。
「圧倒されたやるべき選択」とは「堕胎」のことです。
周りからは堕ろすよう勧められたと語っていました。)
But then an angel came one day
Told me to kneel down and pray
For unto me a man child would be born
(妊娠された方の中には、性別が判明したことで
いよいよ人間の命がそこにあること
実感すると仰る方もいます。
彼女もまたそんな気持ちだったのかなと思います。)
Woe this crazy circumstance
I knew his life deserved a chance
But everybody told me to be smart
“Look at your career”, they said
“Lauryn, baby, use your head”
But instead I chose to use my heart
(喜ばしいことだと本人は思っているのに
周りには受け入れてもらえない状況を
「悲惨」だと綴っています。
「Woe」は「悲惨」の他にも
「深い悲しみ」や「苦悩」を意味します。
最後の一文で聡明で強い女性だと感じます。)
Now the joy of my world is in Zion
(「ザイオン」は「天国」と
「お腹の中の子」のダブルミーニングです。)
How beautiful if nothing more
Than to wait at Zion’s door
I’ve never been in love like this before
(歌詞と訳の行がズレている事が多いですが、
ヒルさんが「歌詞」として一行一行を
書いたのではなく「気持ち」を重視して
文を詞として書かれたんだろうなと、
伝わってくる気がします。)
Now let me pray to keep you from
The perils that will surely come
See life for you, my prince, has just begun
(「perils」は「生命や身体の危険」の意味なので
「堕胎」のことだと思われます。)
And I thank you for choosing me
To come through unto life to be
A beautiful reflection of His grace
See I know that a gift so great
Is only one God could create
And I’m reminded every time I see your face
(「reflection」が意味する「反響」とは
エコーで胎児を確認している時や、
お腹を蹴られた時のことだと解釈しています。)
Marching, marching, marching, marching, to Zion
(「Marching」は「行進」の意味ですが
「堂々とした歩み」や「前進」の意味でもあります。
「Zion」という「息子」こそが
自分にとっては「天国」だと
強く確信していることが伺えます。)
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ちなみにギターとして参加しているのは、世界の偉大なギタリストであるカルロス・サンタナ。歌詞だけでなく曲調も素晴らしく、サンタナのアシストとローリン・ヒルの歌声が合わさっているとなれば、それだけでも名曲なことは約束されたと言える一曲です。
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