2004年に日米で発売されたUtadaのアメリカデビューアルバム「EXODUS」に収録されている曲です。アルバムでのシングルとしては2005年に発売されました。ご存じ宇多田ヒカルさんのアメリカ名義です。
MVは作られておらず、公式YouTubeではリミックス版しか公開されていませんでした。
アルバムの日本語訳をプロの翻訳家さんに任せています。その理由については、本人が「言葉遊びを重視し本来の歌詞の意味から逸脱しそうだから」と述べています。なるほどな、と納得できる聞き心地の良さが、特にサビで見受けられます。
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With you these streets are heaven
Now home feels so foreign
They told me I was mistaken, infatuated
And I was afraid to trust my hunches
Now I am ready
(「home」はそのまま「家」や「自宅」
の意味ですが、続く言葉が
「foreign/外国」だったので
対照的になるように「母国」と訳しました。
「infatuated」は「夢中になる」の意味で
恋愛や趣味に使われます。
「hunches」は「予感」や「勘」の意味です。)
Daddy don’t be mad that I’m leaving
Please let me worry about me
Mama don’t you worry about me
This is my story
(「be mad」は「激怒する」や
「発狂する」の意味です。
「let me worry about meは
「私の心配は私でする」、「私のことは放っておいて」
つまり「自分のことは自分でやる」の意味です。)
Though mountains high and valleys low
The ocean, through the desert, snow
We’ll say goodbye to the friends we know
This is our Exodus ‘04
(サビの語尾、「low」「snow」「know」「4」と
音が同じ言葉を使っていて遊び心が感じられます。
「Though~」は「~にもかかわらず」や
「~だけど」の意味です。
「valleys low」は「谷が低い」ですが
「谷底が低い」つまり「深い谷」の意味です。
「ocean」は「海」ですが
「sea」と違い大きな海を指し、
アメリカではこちらの方がよく使われます。
「We’ll say goodbye to the friends we know」は
「私たちは知っている友だちに別れを告げる」に
なりますが、不自然です。
「the friends/友だち」が何を「we know/知っている」
なのかと考えた時、歌詞の内容から
「人生の岐路に起こる別れ」だと解釈し
「私たちは別れを知る共に~」と訳しました。
「Exodus」は大勢での「移住」や
「国外脱出」の意味です。)
Through traffic jams in Tokyo
New music on the radio
(「traffic jam」は車が詰まって
なかなか進まない「渋滞」を意味します。
ゆっくりでも動ける「渋滞」は
「congestion」が使われます。
また、個人の解釈ですがここで使われる
「New music」はそのまま「新しい音楽」ではなく
「新しい物語/人生」の意味だと思っています。
なので「traffic jam/渋滞」も
行き詰っている人生の意味かなと思います。
東京の風景に心情が重なったのかなと思いました。)
Landscapes keep changing
History teaches something
I know I could be mistaken, but my heart has spoken
I cannot redirect my feelings
The waves have parted
(「redirect」は「向きを変える」の意味です。
「The waves have parted」は
「波は別れた」の意味ですが、
メールやメッセージアプリなどでやり取りする時
最後に「waves」と書かれることがあります。
これは「手を振る」ジェスチャーを意味します。
「バイバイ」の意味です。そして歌詞では
共通認識を意味する「The」がついていて、
前にも「the friends」と共通認識の「友」が
出ていたので、その友たちの「手」、
ただの「波」ではなく目の前に居る
「友の振る手」を意味しているのかなと思い
「手を振る友が」と訳しました。)
I’m listening to a music never ending
My baby don’t you know I’ll never let you down
You’ve opened me to so many different endings
But baby I know that you’ll always be around
(ここで出る「music」も個人の解釈で
「人生」のことかなと思いました。
「人生は選択の連続」と言いますから、
旅立ちや別れという「選択」は「終わらない」と
示唆しているのかなと思います。
「opened me」はそのまま「私を開いた」つまり
「心を開けた」の意味です。
「opened me to~」で「私に~を開放した」
となります。今歌詞では
「so many different endings/異なる多くの結末」
を「開放した」ので「示してくれた」と訳しました。)
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日本では100万枚以上売り上げたアルバムですが、アメリカではそこまでのヒットにはなりませんでした。ただ、Utada/宇多田ヒカルさんの日本語楽曲は、今でもアジアで愛される「First love」を始め、アニメの主題歌などでも英語圏の外国人に人気があります。正に言語を越える音楽家だと思います。
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