1996年にジェイ・ケイのソロユニット・ジャミロクワイがリリースした曲です。部屋を動かすという画期的な発想で、動く家具の中を縦横無尽に踊るジェイ・ケイのMVが話題となりました。
日本でも人気を博し多くのCMに起用されただけでなく、歌詞は北海道の地下街から着想を得たと本人が日本公演で話したと言う、日本とも縁の深い楽曲です。
—————————————————–
Ooh, hey–hey, aw
What we’re livin’ in?
Let me tell ya
(「ya」は色んな略語として使われますが
この場合は「you」の略です。)
And it’s a wonder men can eat at all
When things are big that should be small
Who can tell what magic spells we’ll be doin’ for us?
And I’m givin’ all my love to this world
Only to be told
I can’t see, I can’t breathe
No more will we be
(冒頭に「And」とありますが、
ネイティブな方に聞くと
「前の文章に対する接続詞」なので
「どんな世界に住んでいるのか『それはね』」
のようなニュアンスだそうです。
ただ、特に訳す必要はないそうです。
なぜならネイティブでもあまり文章として
使うことは好まれない表現だそうで、
現にこの歌詞も「And」が抜けている
パターンも存在しています。
「eat」は「食べる」の意味で
「eat at all」は「丸ごと食べる」ですが、
「eat」には「悩ませる」や「イライラさせる」
のスラングもあるのでそちらを使いました。)
And nothin’s gonna change the way we live
‘Cause we can always take, but never give
And now that things are changing for the worse, see
Whoa, it’s a crazy world we’re livin’ in
And I just can’t see that half of us immersed in sin
Is all we have to give these
(「have to」は「しなければならない」の意味。
「与えなければいけないことは分かっているけれど
犯罪者に搾取されるのが目に見えてるじゃないか」
というニュアンスだと解釈しています。
ちなみに「Whoa」は驚いた時の「おっ」の他にも
馬を落ち着かせる時の「どうどう」としても使われます。)
Futures made of virtual insanity, now
Always seem to be governed by this love we have
For useless twisting to our new technology
Oh, now there is no sound
For we all live underground
(「virtual」は「実際ではないが本質」
のことを意味し、「insanity」は
「狂気」や「精神的な病気」を意味します。
「now」は「たった今」とも訳せるので
自然に繋がるように「それが今だ」としました。)
And I’m thinkin’ what a mess we’re in
Hard to know where to begin
If I could slip the sickly ties that earthly man has made
And now every mother can choose the colour
Of her child, that’s not nature’s way
(「ties」は「縛られる」と意味ですが
前に「sickly/病的な」が付くので
自然な文になるように「呪縛」としました。
「colour」は「color」のイギリス表記です。
ただの「色」だけでなく国や人種を意味する
「肌の色」というスラングもあります。
次に「Of her child/我が子の」が続くことと
多人種で子供を作ることへの批判ではなく
人工的に国や肌の色を選んで
人間を作る技術への批判と取れるので
「国や肌の色を」としました。)
Well, that’s what they said yesterday
There’s nothin’ left to do but pray
I think it’s time I found a new religion
Whoa, it’s so insane to synthesize another strain
There’s something in these futures that we have to be told
(ここで言う「yesterday」は本当に「昨日」ではなく
「ついこの前までは」のニュアンスです。
同じように「新しい宗教でも見つけるべきか」は
本当に入信したいという意味ではなく
「現実逃避したくなる」のニュアンスだと思っています。
また「別の種と統合」は先に言ったように
「違う人種」のことではなく
「人間」と「別の生き物」や
「ある生き物」と「別の生き物」の意だと思います。)
Now there is no sound
If we all live underground
And now it’s virtual insanity
Forget your virtual reality
Oh, there’s nothin’ so bad
As a man–made man
Oh yeah, I know, yeah (take it to the dance floor)
(「dance floor」はそのまま
ダンスを踊る場所の事ですが
「何かに熱中している状態」にも
スラングとして使われるそうです。
なのでこの場合「ダンスくらいは踊れるだろ」、
「一緒に踊るくらいならいいだろ」のように
本当に踊る意味と
「俺ら人間からは隔離して夢中で
人工的な人間を作っている奴らのもとへ
行かせればいいだろう」
という両方の意味に取れると思っています。)
Ooh, I know I can’t go on
(「I can’t go on」は直訳すると
「続けられない」ですが
「続けていることをこれ以上
継続してはいけない」の意味で
「続けていては駄目だ」とも訳せます。
また「I just can’t go on」で
「やってられない」の意味になります。)
Ooh, of this virtual insanity we’re living in
Has got to change, yeah
Things will never be the same
And I can’t go on while we’re living in, oh
Oh, virtual insanity
(「誰一人として同じ人間は居ないのだから
クローン人間なんて作ってはいけない」
という事と「人間が存在している以上
人工的な人間を作り続けることは
倫理的に問題がある」という
一部技術への批判だと捉えています。)
Oh, this world has got to change
‘Cause I just, I just can’t keep going on
In this virtual, virtual insanity
That we’re livin’ in, that we’re livin’ in
And a virtual insanity is what it is
Yeah, ooh
(「~is what it is」で
「そういうものだ」、「それが現実だ」
の意味になります。)
now, this life that we live in
(Virtual insanity) it’s all goin’ wrong
Out of the window (livin’ in), you know
(Livin’ in) a man–made man
(Virtual insanity) there is nothing worse than
(Livin’ in) a foolish man (virtual insanity), hey!
Virtual insanity is what we’re livin’ in, yeah, yeah
Well, it’s alright
(最後の一文は楽観視しているわけではなく
未来の人間の選択を信じているのだと思います。)
—————————————————–
日本から着想を得た歌詞ということなので「日本の技術を批判しているのか?」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。リリースの前に羊のクローンが誕生し、リリース後に公表されました。当時、クローン人間を作ることへの熱が高まっていたのです。この曲はあくまでも「行き過ぎた技術への警鐘」です。
ジェイ・ケイはただ地下に街が作られている現実を見て曲を閃いただけで、地下街自体には「これこそ未来都市だ!」と好意的に受け取ったからこそ、日本の公演で話してくれたそうです。また、仙台説もあります。こちらもジェイ・ケイ本人の発言だそうですが、仙台に地下街の無かった為混同したのだろうと言われています。ただ当時ツアー疲れの中、仙台で楽しく過ごしたと言う思い出を本人が度々語っていたことから、仙台でも何らかの着想を得たのだろうと言われています。
訳しながら現在の良くも悪くも発達した「AI技術」にも言えることではないかと思いました。実際に誕生した「クローン羊」、「地下に住むのでは」と不安が広まったパンデミック、そして「AI技術」など、この曲は度々「予言の歌」として話題に上がります。MVも合わせて名曲です。
以下PR