1972年にアメリカの歌手タニヤ・タッカーが発表した曲です。
アメリカでは多くの歌手がカバーし、日本やフランスなどでは各国の歌詞に訳されながら歌い継がれている曲です。
元はアメリカの歌手アレックス・ハーヴェイが自身のアルバム収録曲として発表しました。それをアメリカの歌手ベット・ミドラーがカバーしTVで披露している姿を見た、当時13歳のタニヤ・カッターのプロデューサーがこの曲を彼女のデビュー曲にと決めたそうです。タニヤの曲はカントリー・チャートで6位を記録するヒットとなりました。
翌年1973年にはオーストラリアの歌手ヘレン・レディがカバーしアメリカやオーストラリア、カナダで1位を獲得する大ヒットとなりました。
この曲はアレックス・ハーヴェイが自身の母親について書いたそうです。
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Delta Dawn, what’s that flower you have on
Could it be a faded rose from days gone by?
And did I hear you say he was a meeting you here today
To take you to his mansion in the sky?
(「Delta」は「三角」の意味ですが、この歌詞の場合
テネシー州西部のミシシッピ川流域にある三角州地域
「テネシー・デルタ」を指していると思われます。
「Dawn」は「夜明け」の意味。
「have on」は「身に着けている」の意味。
「Could it be」は「もしかして」の意味。
「faded」は「色褪せた」や「新鮮さが失われた」などの意味。
「gone by」は「過ぎ去った」や「過ぎ去りし日々」の意味。
「mansion/マンション」は「屋敷」や「邸宅」の意味。)
She’s forty–one and her daddy still calls her baby
All the folks ‘round Brownsville say she’s crazy
‘Cause she walks downtown with her suitcase in her hand
Lookin’ for a mysterious dark haired man
(「Brownsville/ブラウンズビル」はテネシー州にある都市。
「downtown/ダウンタウン」は「都市」のことで
「繁華街」や「オフィス街、ビジネス街」を意味します。
「スーツケースを手に」していることから
家に帰らず彷徨っている様子が伺えます。
「Looking for」は「探している」の意味。)
In her younger days, they called her Delta Dawn
Prettiest woman you ever laid eyes on
Then a man of low degree stood by her side
Promised her he’d take her for his bride
(「Prettiest」は「最も美しい」や「最も素敵」の意味。
「laid eyes on」は「目にした」や「見た」「発見した」などの意味。
「degree」は「程度」や「地位」「段階」などの意味。
「stood by her side」は直訳すると「彼女の側に立っていた」
つまり「彼女を支えた」や「彼女に味方した」などの意味。
歌詞が自然に繋がるように「彼女に忠誠を誓った」と訳しました。)
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最後まで歌詞を訳すと「Delta Dawn/デルタの夜明け」と呼ばれた美しい女性が「mysterious dark haired man/謎めいた黒髪の男」と結婚を約束しながらも反故にされ、美しさが色褪せたと言われる歳になっても探し続けていることが分かります。
冒頭に出て来る「rose/バラ」は彼女への献花かなと解釈しています。誰かが若き日の彼女に相応しいバラを手向けたのかな、と。また歌詞は、男を忘れられないまま亡くなった彼女を弔いに来た第三者(息子)が、求婚してくれた当時の男との思い出と共に「the sky/お空、天国」へと召され「mansion/お屋敷」で思い描いた通りの新婚生活を送る、そんな彼女の願いを受け取ったのかな、またはそうであるよう願ってあげているのかな、と。そんな解釈をしているので、とても優しい歌だなと思いました。

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