言わずと知れたイギリスのロックバンド「ザ・ローリング・ストーンズ」の代表曲の1つです。当時、歌詞に性的描写があると放送禁止になる局もあった中、リリースされた1965年に米ビルボード年間チャート3位を記録する大ヒットとなりました。作詞したミック・ジャガー曰く、「当時の若者が感じる疎外感をストレートに書いた」そうです。
「名イントロ」と評される冒頭とサビは聞いたことがある人も多いと思います。むしろ個人的にはその部分しか知らず「不満を爆発させた王道ロック」だと思っていました。訳すとまた違った部分が見れて楽しかったです。また、翻訳される中でよく「I can’t get no satisfaction」の二重否定が「英語の間違いか?」と議論されていたとか。その点も調べながら訳してみました。
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I can’t get no satisfaction
I can’t get no satisfaction
‘Cause I try and I try and I try and I try
I can’t get no, I can’t get no
(早速出て来た二重否定ですが、
日本語でもよくある「言葉の乱れ」だそうです。
いわゆる「若者言葉」ですね。
そのまま訳すと「満足しないなんて出来ない」と
真逆ですが言葉として成立していないような
意味になります。
日本語の「良くなくない」みたいなニュアンスですね。
英語の教師の方とかはまず使わない言い方だそうで、
南アフリカ系の方から徐々に広まったとか。
正しく表記するなら「I can’t get any satisfaction」ですが
曲のタイミングからも「any」より「no」の方が
否定が強く表現出来ている気がするので
さすがだなと個人的に思いました。
同じように「I can’t get no」は
強い否定を意味するので「全然だめ」としました。)
When I’m drivin’ in my car
And the man comes on the radio
He’s tellin’ me more and more
About some useless information
Supposed to drive my imagination
(「more and more」は「だんだんと」
や徐々に増して行く様子の意味です。
「話が終わらない」ことと
「役立たない情報」への苛立ちが
募って行く様子が伺えたので
「グダグダ言う」と訳しました。
「drive」はそのまま「ドライブ」の意味の他に
「駆り立てる」の意味もあります。
「気晴らしにドライブに出かけたのに
逆にイライラさせられた」と解釈しています。
ただ車に乗っているわけではなく
自発的にドライブに出かけたから
「my car」なんだと思っています。)
I can’t get no, oh no, no no
Hey, hey, hey, that’s what I say
(「言いたい事」が何かと言うと、
この曲は当時の商業主義と文化の側面への
批判だと評論させていたそうなので
「若者はやりたい事をやりたいのに
商業主義のせいで認められない」
「結局当たり障りのない保守的な事と
もう金を持っている奴らがのさばる」
という事だと思います。)
When I’m watchin’ my TV
And a man comes on and tells me
How white my shirts can be
But he can’t be a man ‘cause he doesn’t smoke
The same cigarettes as me
(「my TV」とありますが「俺のTV」
つまり「家のTV」と受け取れるので
「家でテレビを」と訳しました。
「タバコ」にカギカッコをつけたのは
特定のものを指す時の「The」が付いているのと
「cigarettes」には「麻薬」の意味もあるので
強調するために付けました。)
I can’t get no satisfaction
I can’t get no girl reaction
When I’m ridin’ round the world
And I’m doin’ this and I’m signing that
And I’m tryin’ to make some girl
Who tells me baby better come back, maybe next week
‘Cause you see I’m on a losing streak
(放送禁止になったのはこの部分です。
最後の「負け続け」は
「商業的に成功していない」
の意味だと思われます。
当時、母国やヨーロッパでは人気がありましたが
アメリカではそこまで広まっていませんでした。)
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ミック・ジャガーさんとキース・リチャーズさんが、どういう意図で書いたのかは分かりませんが、現代でも共感できる歌詞だなと思いました。
どれが本体なのか分からない特典、炎上商法、悪質な転売、そして金のある企業が強い「ゴリ押し」と言われるやり方。企業やサービス側からすれば「お金が入れば問題ない」という状況は、今も昔も変わらないようです。成功すればまた自分も「あちら側」の人間になり、椅子取りゲームからはじかれる人が出る。この曲が普遍的な人気の理由が一片でも分かった気がしました。
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